ローマから日本が見える

塩野七生さんのローマから日本が見えるを読みました。
千年続いたと言われるローマの歴史、現在の混迷を水平的な見地だけでなく
歴史という垂直的な見地から確認することの大切さを改めて感じました。
 
佐々木さんのエッセイでも指摘されているようにリアリズムに徹するという点に共感しました。
これは、日本の禅に共通する姿勢ではないでしょうか?
宗教やイデオロギーに頼るのではなく、現実を見つめて感情に流されること無く対応し改善して行くという姿勢。
こんな姿勢が日々大切なんでしょうね。
 
また、この本の中で日本の大いなる混迷に関連し改革ついても語っています。
>>本当の意味の改革とは、そう簡単に実現するものではない。時間と手間がかかるものなのです。しかし、だからこそ改革には価値があるとも言える。なぜなら、多くの人々はその手間を惜しむがゆえに衰退していき、その手間を惜しまなかったものだけが未来を迎えることができるのですから。<<

>>ともすれば改革とは、古きを否定し、新しきを打ち立てることだと思われがちですが、けっしてそうではない。成功した改革とは、自分たちの現在の姿を見つめ直し、その中で有効なものを取り出して行き、それが最大限の効果を上げるよう再構築していく作業なのではないか。ローマの歴史を見ていると、そう思わざるをえないのです。<<
 
私たちは、当然ですが今生きている時に幸せになりたいと願います。
ただ、災害対策や原発問題などを考えるときとても生きている時に解決出来るのもではありません。
手間と時間が掛かることをしっかりと認識し、現実的に確実に進めていく意思と勇気を持った政治家が今求められていると思います。
当分、ローマについての興味は続きそうです。

ローマから日本が見える (集英社文庫)

ローマから日本が見える (集英社文庫)